氷河期世代・独身女性の現実とこれから|介護・非正規・老後をどう生き抜くか

窓際に佇む中年女性

はじめに:私たちは「想定外の人生」を生きている

就職氷河期の時代に社会に出た私たち。
景気が回復しても、正社員の道は狭く、非正規雇用で働き続ける人も少なくありません。
結婚や出産のタイミングを逃したり、離婚を経験したりして、今は一人で生きている──そんな女性たちは、今まさに人生の次の壁に直面しています。

私もそのひとりです。
結婚歴はありますが、今は独身。子育てを終えたと思ったら、今度は親の介護が近づいてきました。兄弟は遠方に住んでいたり、障がいがあったりして、結局は「私がやることになるのだろう」と感じています。
そして、私自身も精神障害2級。働ける時間や職種に制限があり、収入も安定しません。

そんな現実の中で、「これからどう生き抜いていけばいいのか」。
同じように悩む氷河期世代の独身女性たちに向けて、私の考えや備えを共有したいと思います。

氷河期世代・独身女性が直面する「3つの壁」

① 経済的な壁:安定しない収入と老後の不安

私たち氷河期世代は、社会に出た瞬間から“格差”を突きつけられました。
正社員として採用されるのは一握り。非正規や派遣で働きながら、なんとか生活を支えてきた人が多いのが現実です。

非正規で働くと、昇給やボーナスはほとんどありません。将来の年金額も少なく、老後資金の準備が難しい。
私自身、最低賃金の引き上げで最近ようやく月の手取りは20万円前後になりました。しかし会社の都合で希望する時間働けるとも限らず収入は安定しません。

「老後2,000万円問題」などという言葉を聞いても、現実味がありません。
貯めたくても、今を生きるだけで精一杯。
そんな中でも、少しずつできる備えを考えることが必要だと感じています。

② 家族の壁:親の介護と兄弟支援

私たちの親世代はすでに70〜80代。
「まだ元気」と思っていても、病気や認知症、転倒などをきっかけに、介護は突然始まります。

私の場合、母と同居している弟が精神障害1級で、将来的には母だけでなく弟の生活の面倒を見る可能性もあります。
つまり「介護+支援」が同時に重なる“ダブルケア”です。

兄弟がいても、遠方に住んでいたり、それぞれの事情で頼れないことも多い。
「兄弟がいても結局自分が引き受ける」──それが現実です。

それでも、介護を“ひとりで抱え込まない”ために、制度を知ることは大切です。
介護保険、ケアマネジャー、地域包括支援センター、ショートステイやデイサービス。
すべてを家族の手でやろうとせず、「公的サービスを使っていい」と自分に許可を出すことが、心を守る第一歩になります。

③ 心の壁:孤立と将来への不安

氷河期世代の独身女性が抱えるもうひとつの大きな壁は、「孤独」と「自己否定」です。

周囲が家庭を持ち、子どもが独立していく中で、「私は何をしているんだろう」と感じることがあります。
SNSを開けば、他人の幸せが目に入り、自分だけ取り残されたような気持ちになる。

でも、これは“自分のせい”ではありません。
私たちは、時代の荒波の中で精一杯生きてきた世代。
社会の仕組みや景気の影響を一身に受け、それでも働き続け、家族を支えてきた。
それだけでも、十分に誇れることだと思います。

現実を受け止めて、今できる「備え」を考える

では、これから私たちは何をしていけばいいのでしょうか。
「お金」「介護」「心」──3つの視点から、現実的に考えてみます。

① お金の備え:小さな見直しが大きな安心に

  • 家賃、通信費、保険などの固定費を見直す
  • 格安スマホ、共済保険、ネットバンクを活用
  • クレジットカードを減らし、支出を“見える化”する
  • 教育訓練給付金や就労支援制度を使い、資格を取る

私は「自立支援医療制度」や「障害者雇用」を活用し、少しずつ安定を取り戻しつつあります。
完璧な経済的自立は難しくても、「制度を使うのは恥ずかしくない」と思えるようになってから、少し生きやすくなりました。

② 介護の備え:早めの情報収集がカギ

介護は「始まってから考える」と本当に大変です。
親が元気なうちに、介護保険の申請や地域の相談窓口を調べておくと、心の余裕ができます。

また、「家で全部看る」ことが愛情ではありません。
施設やサービスを使うことも、家族を守る立派な選択です。
介護者が倒れてしまえば、支援は続かない。
自分の体調やメンタルも、同じくらい大切にしていいのです。

介護施設にいる老人

③ 心の備え:つながりを持ち続けること

孤立を防ぐためには、誰かと“ゆるくつながる”ことが大切です。
同じ世代の人と交流できるSNSコミュニティや、地域の女性サロン、オンライン相談なども増えています。
無理にリアルで会わなくても、共感できる言葉を交わすだけで心が軽くなることもあります。

また、好きなことや得意なことを小さく続けることも心の支えになります。
ブログを書く、写真を撮る、植物を育てる──“生きている実感”を持てる時間を少しでも作ること。
それが、精神的な安定にもつながります。

私たちは“失われた世代”ではない

社会は「氷河期世代=報われなかった世代」と呼びます。
確かにそうかもしれません。
しかし、“踏ん張り続けた世代”でもあると思っています。

安定とは縁が遠かったかもしれません。
けれど、困難な時代に生き抜いたからこそ、柔軟さやたくましさを持っている。
これからの日本に必要なのは、そんな私たちの「しなやかな生き方」なのではないでしょうか。

介護が始まっても、老後が不安でも、“今の自分を肯定すること”からすべては始まります。
完璧に生きようとせず、今日を乗り越えられた自分を褒めてあげたい。
誰かに頼られることが増えても、「私も支えてもらっていい」と思える社会であってほしいと願います。

まとめ

氷河期世代の独身女性が抱える問題は、個人の努力だけでは解決できません。
でも、制度を知り、支援を受け、つながりを保つことで“孤立せずに生きる道”はあります。

  • 介護や福祉の制度を早めに知る
  • ひとりで抱えず、行政や支援機関に相談する
  • 無理のない働き方と、心の余裕を持つ
  • 自分を責めない

時代に翻弄されながらも、生き抜いてきた私たちには、確かな力があります。
その経験を活かしながら、“新しい生き方モデル”を見せていけたらと思うのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA



reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。